都麻津姫神社

和歌山市吉礼(平成18年3月25日)

 この神社は、和歌山市の南東、南海貴志川線・吉礼駅の北約300mに鎮座しています。
 ここ吉礼は、平野である和歌山市市内から山間地への入口となる辺りで、木の神・都麻津姫命を祀るに相応しい土地柄のように見えました。今でも結構深い杜に護られた佇まいの良い神社ですが、秀吉の紀州侵攻の際には焼き払われ、以後社地は十分の一に縮小されてしまった様です。
 御祭神は都麻津姫命、配神に五十猛命、大屋都姫命(三神を総称して伊太祁曾三神といいます)をお祀りしていますが、この神々は素盞嗚尊の子神とされる三神であり、素盞嗚尊が全身の毛を抜いて木種とし、それを各地に配って歩き、最後にたどり着いたところが今の和歌山県であったとされています。別殿には吉礼津姫命がお祀りされています。
 式内社で当時は都麻都比賣神社という名称でしたが、明治期には吉礼津姫神社と改称させられ、昭和になり別殿に吉礼津姫命を祀り、再度現社名に改称しました。ここは吉礼という地名でもあり、吉礼とは「中国の五例五礼のひとつで、祖先や自然の祭礼のことで、地形としては平地と山の境を指す事」なのを考え合わせると、元々の産土神は吉礼津姫命だったのを、後に伊太祁曾三神の分遷の時にこの地に都麻津姫命もお祀りし、それが何時しか立場が逆転して都麻津姫命が主祭神となったということなのでしょうか。
 神々にも、人の世にも、永い歴史があり、今の姿からは想像もつかない紆余曲折を経験してきたと云うことなのでしょう。

神社入り口
しょうわ狛犬もここでは少し雰囲気が違うようです。
割拝殿 弊拝殿
手前から脇殿・五十猛命、
本殿、脇殿・大屋津姫命
本殿正面
脇殿・五十猛命社殿 脇殿・大屋津姫命社殿
境内社・御霊社
境内社・高志麻稲荷神社 相殿・吉禮津姫命