伊美別宮社

国東市国見町伊美 (平成20年7月22日)

東経131度36分8.89秒、北緯33度40分52.06秒に鎮座。

 この神社は伊美港のすぐ南に鎮座しています。
 道路からは松が混じった海辺独特の混合林で形成された、大きな鎮守の杜が見えます。道路際に建つ一の鳥居から石畳の参道を行くと、境内入口の二の鳥居奥に、江戸末期に伊美川支流に架設された石製の参道橋がありますが、現在はこの橋を渡ることは出来ません。境内にはいるとすぐに、三の台輪鳥居と狛犬が支える灯籠があり、参道奥に二層式の立派な楼門と回廊が見えてきます。回廊には御座船八幡丸の模型が奉納されており、港町の風情が感じられました。回廊内の境内中央には大きな拝殿と奥に流造りの立派な本殿が建ち並び、本殿向拝下の彫刻類や組木が見事です。その本殿左右には境内社が祀られ、回廊に書かれた案内に導かれて境内右奥に行くと、入口の碑に書かれていた別宮社創祀功労神「陰陽の神・桐畑左京大輔成重」を祀った「今熊社」が鎮座していました。
 又、回廊を出た左側の杜の中には、国東半島最大の国東塔がひっそりと建っていました。
 気持ちの良い豊かな杜の中に大きな社地を持ち、趣のある二層式の楼門や回廊、変わった灯籠などが見られる興味深い神社でした。

 御祭神:品陀和気命、帯中日子命、息長帯比売命
 例祭日:歳旦祭・1月1日、豊穣祈念祭・4月8日、大祓祭・7月30・31日、例大祭・10月13〜16日、新穀感謝祭・12月8日
 境内社:高良社、宮重社、金毘羅宮・瑜伽宮、若宮社、今熊稲荷社、今熊社
 由緒:この社は京都府八幡市にある元官幣大社・石清水八幡宮の別宮で、旧県社です。
 第五十八代光孝天皇の仁和2年(886)、領家小深田民部大輔盛勝は領主片見貞信の命を受け、山城国・男山石清水八幡宮の御分霊を奉持し、随神司官・桐畑左京大輔成重と共に周防の国・祝島を経て伊美港に着船し、野田村の仮宮に安置されました。その後聖地入江島に社殿を造営し、伊美郷鎮護の守護神として奉祀しました。
 今も4年に一度の式年大祭の催しが山口県熊毛郡上関町祝島で行われており、毎年10月15日に行われる秋季大祭では県の無形民俗文化財に指定されている流鏑馬が江戸時代初期から途絶えることなく続けられています。

神社遠景
「国東塔・陰陽の神」碑 神社入口 一の明神鳥居
参道の様子 境内入口 二の台輪鳥居
参道途中を流れる伊美川支流と江戸末期に架設された参道橋(橋長:5.5m)
参道の三の台輪鳥居と狛犬が支える灯籠
皇紀2600年を記念して奉納されたとても変わった灯籠
随分沢山の灯籠を見てきましたが、狛犬が頭で支えた姿を見るのは初めてです。細い前足を突っ張り、歯を食いしばり、目をむいて重い灯籠を頭上に支える姿には感動を覚えます。日本一健気な狛犬さんではないでしょうか?
狛犬の拡大写真はこちらで
(皇紀2600年(昭和15年)建立)
楼門と回廊
境内から見る楼門と回廊 回廊に展示されている御座船八幡丸(模型)
奉納年代不明
拝殿 拝殿に架かる額「別宮八幡宮」
本殿 本殿正面と向拝下の彫刻類
本殿の木鼻・狛犬と龍
境内社:高良社 境内社:宮重社
境内社:金毘羅宮・瑜伽宮 境内社:若宮社
境内社:今熊稲荷社
末社群 恵比須神像
手前から「男鳥居・女鳥居・子鳥居」 境内社覆い屋
境内社:陰陽神・今熊社
末社
正応3年(1290)建立の国東塔
国の重要文化財に指定されている国東半島最大の納経塔で、高さは4.81mあります。
裏参道入口の台輪鳥居