蓮台寺権現堂奥の院

倉敷市児島由加2855(平成21年8月21日)

東経133度51分11.31秒、北緯34度30分8.02秒に鎮座。

 蓮台寺は、岡山県倉敷市にある真言宗御室派の寺院で別格本山となっている。山号は由加山。本尊は十一面観音菩薩。中国三十三観音霊場第6番札所。
 天平10年(738年)行基が本尊である十一面観音菩薩と阿弥陀如来・薬師如来の垂迹である瑜伽大権現を祀って創建したのが始まりと伝えられる。平安時代末兵火にあって衰退したが、室町時代に入り増吽僧正によって中興された。江戸時代には備前国岡山藩の保護を受けた。
 古くから瑜伽大権現は信仰を集めてきたが、明治初年の神仏分離に伴い蓮台寺境内から由加神社(後の由加神社本宮)がつくられ、分けられた。
 由加山の瑜伽大権現と讃岐国にあった金比羅大権現(現金刀比羅宮)を参る両参りと呼ばれる慣習が、かつてはあったという。
 厄除けの権現さまとして信仰を集めている。平成19年(2007年)総高7m59cmの日本一の木造仏像の不動明王が完成した。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)

明治六年神仏分離により、本殿・拝殿およびその付属施設は由加神社として分離独立。明治十四年年由加神社は県社に列せられた。ようするに、瑜伽大権現は神とされ、大権現本社は由加神社として、強制的に分離されたようです。江戸時代の境内木版画はこちら。

しかし、大権現本社は神社として分離させられたとはいえ、 讃岐金毘羅大権現が平田派教学によって、象頭山松尾寺は廃寺。琴平神社として強制改宗させられたのとは違い、瑜伽大権現は基本的には蓮台寺として存続したために、由伽山では現在も神仏習合時代の姿を色濃く残しています。しかし、なまじ残っている為か、色々と確執もあるようです。我々は知らずに、蓮台寺の駐車場へ車を入れた所、「瑜伽大権現蓮台寺の駐車場につき、由加神社への参拝お札をお受けの方の駐車はお断り致します。厄除け瑜伽大権現蓮台寺」の看板が目に入り、改めて由加神社参道下の駐車場へ入れ直すはめになりました。

「蓮台寺公式サイト」はこちら

蓮台寺・権現堂奥の院入り口
権現堂奥の院参道
権現堂奥の院参道にいる大正5年生まれの狛犬
半構え獅子で、変わった顔つきと面白い鬣の付き方をしています。
(大正5年(1916)6月建立)
権現堂奥の院石段脇にいる明治7年生まれの狛犬
阿吽共に笑っているように見える浪速狛犬です。
(明治7年(1874)建立)
権現堂奥の院。神仏分離の時、瑜伽大権現を奉安するために、明治期に建立したそうです。

 蓮台寺・権現堂奥の院入り口にこんな看板が立っていました。明治政府の強引な神仏分離により生じた寺院と神社の確執は多々あり、今までにこの様な問題を抱えている神社をかなり見てきましたが、ここまであからさまに、又、強い口調でかかれている文章は初めてです。
 神社側では表だっては何も触れられていませんが、どうも現神社の社殿・財産を巡って法廷で争われた模様です。どちらにもそれぞれの言い分があり正当性はあるのでしょうが、どちらを信じ、どちらに詣でるかは、参拝者の自由です。一般の参拝者に不愉快な想いを感じさせない配慮をしていただきたいものです。

あらためて辞書を引くと(大辞泉)
瑜伽 《(梵)yogaの音写。相応と訳す》心の制御・統一をはかる修行法。冥想による寂静の境に入って、絶対者との合一を目的とする。ヨーガ。
由加 《斎(い)み清めた容器の意か》水・酒などを入れるための、かめ。多く、祭事などに用いられた。〈和名抄〉
どうも「瑜伽」の方が正しいような気がしますが、我々も含め、大半の人達にはどうでも良いことでしょう。