高鴨神社

御所市鴨神1110(平成23年1月7日)

東経135度42分37.6秒、北緯34度24分17.44秒に鎮座。

 この神社は金剛山東山麓の30号線に面して鎮座しています。
 古木の生い茂る鎮守の杜の中央辺りに、親しみやすい狛犬が護る朱の一の鳥居が立ち、右側には旧別当寺の物と思われる鐘楼が残されています。鳥居を潜るとすぐ左に祓戸神社が祀られ、手水舎の後ろに宮池が静かな面を見せています。
 右手には社務所が配され、参道突き当たりの石段前に二の鳥居が建立されています。石段を上がると境内で、目の前に入母屋造りの大きな拝殿が建ち、後ろの石垣の上の瑞垣内に、室町時代建立の檜皮葺三間社流造、国重要文化財指定の本殿が建立されています。本殿は綺麗に彩色された素晴らしい社殿ですが、瑞垣から上に出ている部分しか見られないのが残念です。
 社殿右手に続く参道には県指定重要文化財・東宮(寛文12年(1672)建立)や佐味護國神社等の境内社が沢山祀られています。
 本来はここから宮池の周囲を回り込んで、西宮の方へ行かなければいけなかったのですが、先ほど葛城一言主神社でも遭遇した、大阪からの観光バスの一団とここでも遭遇してしまい、夫は狛犬の写真を写していて背後からぶつかられたり、私は皆さんがなるべくはいらないように間を見計らっての撮影、等で動揺。又、二台目の観光バスが来たので早々に退散してしまい、西側の境内社の写真が総て欠けてしまいました。次に奈良の神社参拝時に再度挑戦…ということで悪しからず、ご容赦を。

 御祭神:阿治須岐高日子根命(迦毛之(かもの)大御神)、阿治須岐速雄命、事代主命、下照姫命・天稚彦命
 祭礼日:1月1日・元旦祭、2月3日(節分)・稲荷神社例祭 古札焼納祭(笹酒授与)、2月3日〜5日・節分厄除祈願祭、2月17日・祈年祭、4月15日・春季大祭 合併神社例祭、5月5日・献花祭(雅楽奉納)、7月20日・献燈祭(神楽奉納) 西神社・東神社例祭、7月31日・夏越しの大祓(茅の輪くぐり)、仲秋の名月・観月演奏会(雅楽等)、10月10日・11日・秋季大祭(寿々伎提灯奉納)、11月23日・新嘗祭、12月31日・大祓式,除夜祭、毎月1日・旧暦の毎月1日・月次祭、4月20日〜5月5日頃・日本さくら草展示(野点有り)、6月初旬〜下旬・花菖蒲(肥後菖蒲)展示
 境内社:東神社(天児屋根命・天照大御神・住吉三前大神)、西神社(主祭神 多紀理毘売命、配祀 天御勝姫命・塩冶彦命・瀧津彦命)、八幡神社、一言主神社、猿田彦神社、金刀比羅神社、聖神社、稲荷神社、松尾神社、細井神社、大山神社、春日神社、雷社、市杵嶋姫神社、八坂神社、西佐味神社、祓戸神社、牛瀧神社、佐味護國神社
 由緒:当神社は全国鴨(加茂)社の総本宮で 弥生中期前より祭祀を行う日本最古の神社の一つです。
 主祭神の阿治須岐高日子根命は亦の御名を迦毛之大御神と申され この大御神と名のつく神様は天照大御神・伊邪那岐大御神と三神しかおられず 死した神々をも甦えらせる事ができる御神力の強き神様であります。
 それゆえ病気平癒、初宮、大祓い等 甦りに関する信仰が深く また人の歩む道を目覚めさせて下さる神様として全国より篤く御崇敬を受けております。
 「カモ」は「カミ」と同源であり「カモす」という言葉から派生し 「気」が放出しているさまを表しております。
 当神社の神域は鉱脈の上にあることも重なり 多くの「神気」が出ていることでも有名です。夏場に参拝されますと涼しく感じられるのもその為です。
 「気」は身体に大変よく 当地は長寿の方が多く 神域を巡られ神様の気をお受けになられ 心身ともに甦られることをお祈り申し上げます。
(境内案内板より)

 この地は大和の名門の豪族である鴨の一族の発祥の地で本社はその鴨族が守護神としていつきまつった社の一つであります。
 『延喜式』神名帳には「高鴨阿治須岐詫彦根命(たかかもあじすきたかひこねのみこと)神社」とみえ、月次・相嘗・新嘗の祭には官幣に預かる名神大社で、最高の社格をもつ神社でありました。清和天皇貞観元(859)年正月には、大和の名社である大神神社や大和大国魂神社とならんで従二位の御神階にあった本社の御祭神もともに従一位に叙せられましたが、それほどの由緒をもつ古社であります。
 弥生中期、鴨族の一部はこの丘陵から大和平野の西南端今の御所市に移り、葛城川の岸辺に鴨都波神社をまつって水稲生活をはじめました。また東持田の地に移った一派も葛木御歳神社を中心に、同じく水稲耕作に入りました。そのため一般に本社を上鴨社、御歳神社を中鴨社、鴨都波神社を下鴨社と呼ぶようになりましたが、ともに鴨一族の神社であります。

 このほか鴨の一族はひろく全国に分布し、その地で鴨族の神を祀りました。賀茂(加茂・賀毛)を郡名にするものが安芸・播磨・美濃・三河・佐渡の国にみられ、郷村名にいたっては数十におよびます。中でも京都の賀茂大社は有名ですが、本社はそれら賀茂社の総社にあたります。
 『日本書紀』によると、八咫烏(やたがらす)が、神武天皇を熊野から大和へ道案内したことが記されています。そして神武・綏靖・安寧の三帝は鴨族の主長の娘を后とされ、葛城山麓に葛城王朝の基礎をつくられました。
 この王朝は大和・河内・紀伊・山城・丹波・吉備の諸国を支配するまでに発展しましたが、わずか九代で終わり、三輪山麓に発祥した崇神天皇にはじまる大和朝廷によって滅亡しました。
 こうした建国の歴史にまつわる由緒ある土地のため、鴨族の神々の御活躍は神話の中で大きく物語られています。高天原から皇室の御祖先である瓊々杵(ににぎ)尊がこの国土に降臨される天孫降臨の説話は、日本神話のピークでありますが、その中で本社の御祭神である味耜高彦根(あじすきたかひこね)神・下照比売(したてるひめ)神・天稚彦(あめわかひこ)、さらに下鴨社の事代主(ことしろぬし)神が、国造りの大業に参劃されています。
 御本殿には味耜高彦根神を主神とし、その前に下照比売神と天稚命の二神が配祀され、西神社には母神の多紀理毘売(たぎりびめ)命がが祀られています。古くは味耜高彦根神と下照比売神の二柱をまつり、後に神話の影響を受けて下照比売の夫とされた天稚彦、また母神とされた多紀理毘売を加え、四柱の御祭神となったものと考えられます。
 現在の御本殿は室町時代の三間社流造の建物で、国の重要文化財に指定されています。なお東神社は皇大神・住吉神・春日神をお祀りしています。
(「高鴨神社公式サイト」より)

 式内社(名神大社)。京都の賀茂神社(上賀茂神社・下鴨神社)を始めとする全国のカモ(鴨・賀茂・加茂)神社の総本社と称する。4月中旬から5月初旬にかけて500種2200鉢以上の日本サクラソウが咲く。
 阿治須岐高日子根命(迦毛之大御神)を主祭神とし、下照比売命・天稚彦命を配祀する。
 古くは阿治須岐高日子根命と下照比売命の二柱を祀っていたものが、後に神話の影響を受けて、下照比売命の夫とされた天稚彦命、母とされた多紀理毘売命が加えられたものとみられている。ただし、主祭神以外の祭神については異説が多い。現在高鴨神社社務所では、上記の神の他に事代主命・阿治須岐速雄命を配祀するとしている。『特選神名牒』では阿治須岐高彦根命と多紀理比売命としている。「主祭神以外の神は不詳」とする説もある。
 当地は鴨氏一族の発祥の地であり、その氏神として祀られたものである。鴨氏はこの丘陵から奈良盆地に出て、葛城川の岸辺に移った一族が鴨都波神社を、東持田に移った一族が葛木御歳神社を祀った。後に、高鴨神社を上鴨社、御歳神社を中鴨社、鴨都波神社を下鴨社と呼ぶようになった。
 延喜式神名帳では「高鴨阿治須岐託彦根命神社 四座」と記載され、名神大社に列し、月次・相嘗・新嘗の幣帛に預ると記されている。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より)

社頭
入口に立つ一の鳥居
鳥居に掛かる額 入口右に残る鐘楼
入り口にいる嘉永7年生まれの浪速狛犬
やや太めの、人の良さそうな親しみやすい狛犬です。
狛犬の拡大写真はこちらで
(嘉永7年(1854)甲寅8月吉祥日建立)
境内社:祓戸神社
参道の様子
二の鳥居
社殿の建つ上の境内への石段
拝殿
拝殿内の様子
社殿全景
室町時代建立の檜皮葺三間社流造、国重要文化財指定の本殿 左右から
境内社:東宮(天児屋根命・天照大御神・住吉三前大神)
寛文12年(1672)建立で、県指定重要文化財です。
境内東側に纏められた境内社
境内社:佐味護国神社
境内社:大山咋神社
境内社:春日神社
境内社:雷神社
境内社:細井神社
境内社:市杵嶋姫神社
拝殿左の祭祀場 歌碑
参道西側に広がる宮池
豊かな鎮守の杜の様子を水面に映す湖面。素晴らしい景観です。