岩屋不動

京都市北区真弓(平成16年1月3日)

志明院(金光峯寺)


 岩屋山と号し、真言宗単立寺院である。
一般に岩屋不動と呼ばれている。寺伝によれば、白雉元年(650)に役行者が創建し、のち、天長6年(829)弘法大師が醇和天皇の命により再興し、以来皇室の勅願所として崇敬が深く、天下の平和を祈願のため諸堂開扉の詔があり、この時「志明院」の勅願を天皇から賜って以来これを寺号にしたという。度々兵火や火災にあい、現在の主要建物は明治以降の再建である。
 本堂には空海の開眼と伝える不動明王を安置する。奥院である根本中院には菅原道真」の手彫と伝える眼力不動明王を安置する。また境内には歌舞伎「鳴神」で有名な鳴神上人が竜神を閉じ込めた所と伝承される護摩洞窟など修験道にちなむ伝承地が多い。また付近一帯には石楠花が多く、4月下旬に開花して美しい。

帰宅後調べると、歌舞伎「鳴神」はこの辺りを舞台としたもので、竜神を閉じ込め、世の中を日照りにさせた、当山の僧鳴神上人が、絶世の美女といわれた雲の絶間姫の色香に迷ったために止雨の法力が失せて雨が降ったという話も、ここが賀茂川の水源にあたることによるものだろう。
それにしても、朝廷が権力を用いず、色仕掛けで坊主を誑し込むとは、何ともふざけたお話です。