花尾神社

鹿児島市花尾町4043(平成22年1月4日)

東経130度30分11.33秒、北緯31度42分11秒に鎮座。

 この神社は211号線を走っていると大下公民館付近の田園地帯にぽつんと赤い鳥居が見えてきます。是が花尾神社の参道入口に立つ大鳥居で、参道はここから境内まで約800m程川田川支流に沿って続きます。神社入口には「村社花尾神社」の社号標が立ち、二の鳥居には島津家の家紋「丸に十の字」が取り付けられています。
 駐車場を兼ねている参道右側には手水舎と神池があり、大きな杉木立が続く参道右側の林の中には島津家代々の守護神「稲荷大明神」「春日大明神」が祀られています。
 石段を上がると境内ですが、直ぐ正面にはこの社が別名「薩摩日光」とも言われる由縁の、権現造り極彩色の拝殿が建っています。正徳3年(1713)に建てられたという拝殿は柱や破風は朱塗りで金の面取りがされ、拝殿正面屋根の千鳥破風・唐破風下の彫刻類は、極彩色で彩られた植物や優雅な曲線を描いた細工が施され、木鼻までもが白をベースに綺麗な彩色が施されています。社殿内壁や天井は四百余枚の花鳥絵で埋められていて、当時の工芸美術の粋を集めている…という案内も過言ではありません。
 「こんな山奥にどうして?」という疑問が湧くほどの結構な山間地に鎮座する神社ですが、島津家初代当主・忠久公の母「丹後局」や島津家の始祖ともいわれる「源頼朝公」を祀る神社として歴代藩公が厚くこれを尊崇し、現在も安産祈願の神として厚い信仰心が受け継がれているようです。

 御祭神:相殿祭神・清和天皇、主神・源頼朝、丹後局、従祀神・僧「永金」
 祭礼日:歳旦祭・1月1日、祈年祭・3月21日、例祭・4月8日、六月灯祭・7月第三土曜日、御局年忌祭・9月23日、新嘗祭・11月23日
 境内社:稲荷神社、春日神社
 由緒:花尾神社は藩祖島津忠久公が薩隅日三州の守護職に任ぜられ下向したおり、健保6年(1218)頼朝公の尊像を花尾山の麓に安置したのが創建の時と言われている。
 花尾大権現廟記)によると、忠久公は母の丹後局と養父惟宗廣言を薩摩に迎え、廣言を市来の地頭職に任じ、丹後局に満家院の厚地村と東俣村を与えたということである。
 丹後局は安貞元年(1227)に亡くなり、遺言によってこの地に葬られ、別当寺の平等王院等を建立した僧「永金」もまたこの地に祀られ、歴代藩公を初め厚くこれを尊崇した。
 現在の社殿は、正徳3年(1713)の建造で極彩色の権現造り、拝殿等の格子天井には400余枚の植物が描かれ、幣殿や向拝の彫刻や装飾は壮麗で工芸美術の枠を集め、高尚にして格調高く、別名「さつま日光」とも言われている。
 拝殿や幣殿には、藩や家臣をはじめ、琉球などから贈られた扁額など多数が掲げられ、文化的・歴史的に優れた価値のある文化財である。

参道入口
参道入口に立つ大鳥居
神社入口に立つ二の鳥居 社号標
「村社花尾神社」
駐車場・参道の様子
参道右側にある手水舎と神池
参道の様子
境内入口
別名「薩摩日光」とも言われる由縁の、権現造り極彩色の拝殿
拝殿木鼻・狛犬と象
 
 
本殿
島津家代々の守護神「稲荷大明神」「春日大明神」
末社と首の無い随神?像、仏像
御神木 絵馬